10年前の自分に教えたい!

理科では、どうして小数点と0(○.0)をつけなくてはいけないのでしょう。

小数点と0(○.0)は必ずつける、ではない

電流の単元では、答えに、1.0 Vとか、4.0Vとかなど、最後に.0を書かなくてはならない場合があります。

生徒からの質問でこういうものがあります。「どういうとき、.0が必要で、どういうとき.0がいらないのか、分かりません。」

この質問が出る前に、きちんと取り組んでおきたいことがあります。それは、電圧計や電流計の正しい読み方です。最小目盛りの1/10まで読む訓練が大切です。

実験では、値を何桁まで読むかは、計測装置によって決まる。

有効数字を知ろう

家庭で、質量を測る時、自宅にあるキッチンスケールを使うと思います。もし、あちこちの理科室から電子てんびんを借りてきて測ると、表示が異なる場合があります。

大さじ一杯の水の質量を測定したとき、
キッチンスケールでは15 g
小学校の電子てんびんでは、15.3 g
中学校の電子てんびんでは、15.34 g
大学の分析化学の実験室の電子てんびんでは、15.3421 g
という結果になったります。

思わず、「どれが正解なの?」と言いたくなるのではないでしょうか。

実は、どれもしっかり測定できており、正しい測定値です。

15 g
15.3 g
15.34 g
15.3421 g

何桁まで測定したかによって、表示される数値が変わっているだけで、どれもが、大さじ一杯の水の質量の正しい測定値なのです。

このように、測定値は、機器によって異なります。

それぞれの測定器が表示する意味のある数字のことを「有効数字」と言います。

15 g(有効数字2桁)
15.3 g(有効数字3桁)
15.34 g(有効数字4桁)
15.3421 g(有効数字6桁)

ということになります。なので、電流の単元で登場する1.0 Vとか、4.0Vというのは、「測定値で、有効数字は、2桁ですよ」ということを表しています。もし、1Vとか、4Vと書いてしまうと、測定値なのか、誰かが決めた数値なのか、分からなくなります。測定値だとすると、かなりアバウトな測定値だな、ということになります。

信頼できる測定値の数字を「有効数字」と言う。

計算した数字の桁数は、測定値に合わせる

測定値をもとに計算して、出てきた数字も測定値と同じように、有効数字のルールに従います。

例えば、抵抗値を求める問題で、5.0 V、1.25 Aと書かれていたら、何Ωと書くのが適切なのでしょうか

1.25 ➗ 5 = 4 なので、4 Ωでよいのかな、それとも4.0 Ωと書くべきかな?あるいは、4.00 Ωも考えられるぞ…

その場合、問題に「測定値」として、与えられている数値の中で、有効数字の桁数がいちばん小さなものに合わせればよいのです。

5.0 V(有効数字2桁)
1.25 A(有効数字3桁)
なので、
4.0Ω(有効数字2桁)
と答えるのが適切です。

計算するときは、有効数字の桁数が少ない値に合わせて四捨五入してよい。

「40 V」の有効数字は、1桁でもあり、2桁でもありうる

39 Vなら、有効数字が2桁だとすぐ分かりますが、40 Vという書き方の場合、文脈を読み取らないと分かりません。

高校以上では、このように書いて有効数字を明文化しています。

4 ×10(有効数字1桁)
4.0 ×10(有効数字2桁)
4 .00×10(有効数字3桁)
6.02×1023(有効数字3桁)

測定値以外は、すべての桁が有効数字

今日は、有効数字の話をしてきました。でも、次のような場合、話はぜんぜん別ですよ。

「飲み代23,835円を5人で割り勘します。1人当たりの支払いはいくらになりますか。」

この場合、有効数字は1桁にはなりません。だって、勘定の23,835も、人数の5も測定値ではなく、その場にいた人間が決めた数字(定数)なのですから。