代表的なプラスチックは3年生の内容に
(7)科学技術と人間
(内容の取扱い)
「様々な物質」については,天然の物質や人工的につくられた物質のうち代表的なものを扱うこと。その際,プラスチックの性質にも触れること。
平成29年版学習指導要領
物質に関する観察,実験などとして,例えば,プラスチックの性質を調べること,天然繊維と合成繊維の性質を調べること,石けんや合成洗剤の性質を調べることなどが考えられる。その上で,木材,絹など天然の物質とプラスチック,合成繊維など人工的につくられた物質を取り上げ,日常生活や社会で,幅広く利用されて私たちの豊かな生活を支えていることを理解させる。その際,プラスチックに関しては,その性質,用途などについて触れる。例えば,ポリエチレン(PE)ではつくりに触れ,ポリエチレンテレフタラート(PET)では有効な利用について触れることなどが考えられる。
平成29年版学習指導要領解説
プラスチックの性質は、3年生の卒業間近に学習。
これまで1年生の化学分野では、プラスチックの性質が単元の中でやや唐突に挿入さているような印象だった。有機物を「燃えると焦げたり、炭になる物質」と定義したときにも、プラスチックは種類によっては、すすも出にくく、焦げたような燃え残りもできないものもあり、無理があった。
代表的なプラスチックの種類とその利用法について、3年生の「科学技術と人間」で学ぶことになり、より自然な過程で学習できると考えられる。
2年生で化学式を学習し、3年生で原子のなりたちを学習したあとだからこそ、ポリエチレンの作りについて学習させることができる。従来の配列では無理があった、高分子化合物のつくりをいっそう具体的に扱うことができるようになる。
物質の溶解は、小学校へ
週3回しかない割に、内容過多だった1年生の過程がほんの少し軽くなった。
2年生「元素」が入り、「化合」は削除
(4)化学変化と原子・分子
(内容の取扱い)
「物質を構成する原子の種類」を元素ということにも 触れること。また,「記号」については,元素記号で表されることにも 触れ,基礎的なものを取り上げること。その際,周期表を用いて多くの 種類が存在することにも触れること。
平成29年版学習指導要領
これまで教科書の片隅に小さな文字で書かれていた「元素」という言葉。令和3年度版の教科書からは本文に登場します。
一方で「化合」という言葉は、指導要領から消えました。
高等学校では、元素という言葉をよく使う。中学校でもそれに従うことで、化学の基礎がいっそう学習しやすくなる。
3年生「原子の成り立ち」で“同位体”を学習する
(6)化学変化とイオン
(内容の取り扱い)
「原子の成り立ち」については,原子が電子と原子核からできていることを扱うこと。その際,原子核が陽子と中性子でできていることや,同じ元素でも中性子の数が異なる原子があることにも触れること。また「イオン」については,化学式で表されることにも触れること。
平成29年版学習指導要領
白色光には、いろいろな色の光が混ざっており、プリズムなどによって分けることができる。
CDの色、シャボン玉の色、虹など、生徒たちが日常的に体験している現象で、説明できるのが望ましい。
3年生「金属イオン」という用語が登場
(6)化学変化とイオン
( イ ) 化学変化と電池
ア 金属イオン
金属を電解質水溶液に入れる実験を行い,金属によってイオンへのなりやすさが異なることを見いだして理解すること。
イ 化学変化と電池
電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電池の基本的な仕組みを理解するとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
平成29年版学習指導要領
実用的な電池の例としてダニエル電池を取り上げ,例えば,その製作を行う。 その際,硫酸亜鉛水溶液,硫酸銅水溶液,亜鉛板,銅板を用いて回路を形成する と,電圧が生じて電池になることを実験で確かめさせることなどが考えられる。
平成29年版学習指導要領解説
「イオン化傾向」という用語はないが、「イオンへのやりやすさ」と、化学電池の電極の組み合わせを関連づけて学習することに。
化学電池は「ダニエル電池」を扱う。
これまでは、化学電池の授業で「イオン化傾向」を学ばずに、金属の種類の組み合わせによって、+極、ー極が決まることを指導するのに無理があった。「イオンへのなりやすさ」はそのまま「ー極へのなりやすさ」である。