授業開きでは、理科の有用性を語ろう。
先日公開した、授業開きのネタ集は、多くのアクセスをいただいた。そこで、今回は、さらに授業開きネタを提供すべく、新しいページを書くことにした。
授業開きでは「理科を何のために勉強するのか」をテーマに語っていただきたいと思う。愛知県の公立中学校に勤めるTA先生提供の資料を紹介する。
1年生の皆さんへ 理科の授業について 1 はじめに 理科の研究にはたくさんのお金がかかります。日本でも膨大なお金をかけて理科の研究をしています。理科に巨額のお金を注ぐのはいったい何のためなのでしょうか。 日本は「技術立国」と言われています。自動車に代表される「ものづくり」産業が日本の経済を支えています。高度な技術を支えている基礎の部分は、学校で習う理科なのです。 2 理科は役に立つ 洗剤でたくさんの食器を洗っていると、手が荒れることがあります。美容院では、一日に何人ものお客さんの頭をシャンプーしていますが、美容師さんの手は大丈夫なのでしょうか。シャンプーはアルカリ性です。長い時間シャンプーをし続けたら、髪の毛も手も傷んでしまいます。シャンプーの後は、できるだけ早くアルカリの性質を洗い流すほうがよいのです。そのために使うのがリンスです。リンスは酸性です。アルカリでしっかり汚れを落とした後、正反対の性質の酸で髪の毛や肌の調子を整えているのです。だからお客さんの髪も美容師さんの手も健康でいられるのです。アルカリと酸は正反対の性質で、この2つを混ぜるとただの水になります。こういうことも中学校の理科で勉強します。 そのほかにも、ロケットが飛ぶ仕組み、サツマイモの種ってあるのか、電気の作り方、テレビの仕組み、人間の体の仕組み、地球の中がどうなっているのか、宇宙はどこまで広がっているのか…、など。 3 理科を学ぼう 皆さんはこれから、たくさんの実験、たくさんの知識に出会えるはずです。その中から何か好きなことが見つかるといいですね。もしかしたら将来の仕事につながるかもしれません。 美容師も理科と関係のある仕事ですが、スポーツ選手も、カメラマンも、自動車のエンジニアも、トラックの運転手も、大工さんも保育士さんも、お医者さんも、看護師さんも、コンビニの店員も、すし職人も、パティシエも、デザイナーも、ペットショップの店員も、通訳も、貿易商も、漫画家も…、というか、どんな仕事にも理科は大切です。そして理科は生活の中で必ず役に立ちます。 中学校で理科を楽しんでください。 4 何を勉強するのか 理科は「自然科学」とも呼ばれます。自然のことを勉強するのです。道ばたの草花も、今日の天気も理科の対象です。私たちを取り巻く当たり前の環境の中に「理科」がいっぱいあるのです。 そうはいっても、勉強することがいっぱいですので、整理する必要があります。授業では、いろいろ整えて、すっきりさせて勉強します。教科書や理科便覧なども考えを整理するのにとても役に立ちます。家では「学習サポート」で、知識を整理させていきます。 5 持ち物 教科書、ノート、理科便覧、学習サポート、サポートノート、筆記用具 6 心がまえ では、何のために理科を学ぶのでしょうか。あなたは今、夢を持っていますか。ある小学校の卒業文集に素敵な夢が書かれていました。 「日本代表に選ばれるサッカー選手になりたい」 「弁護士になって人を守る優しい人になりたい」 「ゲームと甘いものが好きだから、ゲーム関係かパティシエの仕事につきたい」 「お金をかせげる仕事について、ちゃんとした大人になる」 先生たちは、理科の授業で皆さんの夢の実現を応援します。高い高い目標を掲げよう。いろいろなことに興味をもとう、自分の頭で考えよう。 |
理科の知見を動員して、新型コロナウイルスを正しく怖がろう。
世界中に非常事態宣言を出させ、世界中の学校を休校に追い込んだCOVID-19。その正体や対処方法がわからなければ、怖さが倍増し、人々はパニックに陥る。令和2年度の授業開きでは、ぜひとも、理科教師として、免疫やウイルス性伝染病の知見を語り、落ち着いた行動を呼びかけよう。