仕事術

学習指導要領改定のポイント、中学校理科、移行措置、物理分野

1年生で、白い光の分光を学習することに

 光の色については,例えば,雨上がりなどに虹ができることを取り上げ,白色 光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることに触れる。なお,色 の見え方には個人差があることに配慮する必要がある。

平成29年版学習指導要領解説

白色光には、いろいろな色の光が混ざっており、プリズムなどによって分けることができる。

CDの色、シャボン玉の色、虹など、生徒たちが日常的に体験している現象で、説明できるのが望ましい。

また、RGBつまり、RED(赤)GREEN(緑)BLUE(青)の光をバランスよく合わせると白色に見える。この現象を利用して、テレビやスマートフォンでは、RGBの3元色を使って様々な色を表現している。

コンピュータの液晶画面をルーペを使って観察すると、3元色の混合(加法混色)がわかりやすい。

力のつり合いが3年生→1年生に

(イ)力の働き ア 力の働き

物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだして理解するとともに,力は大きさと向きによって表されることを知ること。また,物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだして理解すること。

平成29年版学習指導要領

これまで3年生の内容だった力のつり合いが1年生に下りてきた。これにより、静止している物体にはたらく2力の存在が分かりやすくなる。

バネにおもりを吊り下げたときに、バネがおもりを引く力と、おもりにはたらく重力がつり合っていることが分かる。また、机の上に置いた物体に働く2力を考えるときには、垂直抗力について考えやすくなる。

気圧が2年生へ、水圧と浮力が3年生へ移行

2年生(4)気象とその変化

(内容の取扱い)

「大気圧」については,空気中にある物体にはあらゆ る向きから圧力が働くことにも触れること。

平成29年版学習指導要領

1年生の物理分野で学習していた大気圧は、2年生の気象とその変化で学習することになった。

2年生の気象単元で「大気圧」を扱う。大気圧の差が風を起こすので、気象を力学的な観点で捉えることは、理解を深めるのに大きく役立つと考えられる。

運動とエネルギー

(内容の取扱い)

水中にある物体には,あらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。また,物体に働く水圧と浮力との定性的な関係にも触れること。

平成29年版学習指導要領

1年生の物理分野で学習していた水圧と浮力は、3年生の「運動とエネルギー」で学習することになった。

ピンポン球を水に沈めるには、仕事が必要であり、水中のピンポン球は、エネルギーを持っていると言える。これは一種の位置エネルギーと言える。水圧や浮力と、エネルギーとの関係が途切れないように指導する必要がある。

2年生の真空放電に関連して、放射線を学習

電流とその利用

(内容の取り扱い)

電流が電子の流れに関係していることを扱うこと。また,真空放電と関連付けながら放射線の性質と利用にも触れること。

平成29年版学習指導要領解説

電子線は、放射線の1種であるβ線と同じ、高速で移動する電子である。

これまで中学校での学習では、放射線を具体的な物質として扱うことはなかった。しかし、今回の改定で、クルックス管の中で飛んでいる電子線がその一種であることを学ぶことで、理解を助けると考えられる。

3年生の放射線学習は、より重要視されている

(7)科学技術と人間

(内容の取り扱い)

 エネルギー資源の利用については,日常生活や社会で利用している石油や天然 ガス,太陽光など,エネルギー資源の種類や入手方法,水力,火力,原子力,太 陽光などによる発電の仕組みやそれぞれの特徴について理解させる。その際,原 子力発電では,ウランなどの核燃料からエネルギーを取り出していることに触れ る。放射線については,核燃料から出ていたり,自然界にも存在し,地中や空気 中の物質から出ていたり,宇宙から降り注いでいたりすることなどにも触れる。 東日本大震災以降,社会において,放射線に対する不安が生じたり,関心が高まっ たりする中,理科においては,放射線について科学的に理解することが重要であ り,放射線に関する学習を通して,生徒たちが自ら思考し,判断する力を育成す ることにもつながると考えられる。その際,他教科等との関連を図り,学習を展 開していくことも考えられる。

平成29年版学習指導要領解説